やっぱりうちの家族は「○○だった!!」

アレンは市場で古物商のおじいさんからもらった古びた絵本を家族に話すことにした。家に帰ると、両親が食卓に座っており、祖母たちも数件先の若夫婦の噂話をしながらお茶をすすっていた。勇者としての話が家の中で広まりつつある状況で、アレンは気が進まなかったが、おじいさんのことを話し出した。

「市場で、古物商のおじいさんが変わった本をくれたんだ。勇者になるのに役立つかもしれないって…」

すると、母メイがすぐに反応した。

「えっ、古物商? そんな怪しいおじいさんから物をもらうなんて、アレン! まさか変なことされなかったでしょうね?」

「そうよ! 最近は変質者が多いんだから。危ないことがあったらすぐに言いなさい!」と、祖母のユンも続ける。

父アドルは眉をひそめ、「お前、騙されてるんじゃないか? その本も中身を確認しないと危険かもしれんぞ。怪しい魔術とか書いてあったらどうする?」と、警戒し始める。

アレンは家族の反応に疲れ果てた。自分が心の葛藤を抱えているのに、家族はただおじいさんを変質者扱いして、自分の話をまともに聞こうともしない。彼らはますます、金や地位、名声の話ばかりするようになり、勇者になった自分をどうやって利用するか考えているのが目に見えていた。

「クソだな!」

「もういいよ…何を話しても、どうせ私利私欲しか考えないんだろ?」とアレンはうんざりした声で言い放った。家族は少し驚いた顔をしたが、すぐにまた他の話題に移ってしまった。

アレンは自分がどこにも居場所がない気持ちになって、ふと静かな場所に行きたくなった。


その夜、アレンは家族から離れて静かな場所で一人、もらった本を手に取ったが、まだ読む気にはなれなかった。おじいさんの意図が分からないままだし、家族の言葉もどこか頭の中でこだましていた。

そんな時、ふと思い出した別の本があった。子供の頃、読んで感動した絵本だ。その絵本は勇気や成長、信じる力を教えてくれた物語で、今の自分にぴったりな気がした。

『ちいさいおうち』 by バージニア・リー・バートン

この絵本は、ある小さな家がどんなに時代が移り変わっても、揺るがない存在であり続ける物語だ。都会の喧騒に押し流され、家の周りが変わっていく中でも、自分の居場所を守り続ける「ちいさいおうち」。家は環境がどう変わろうとも、最後には元の静かな場所に戻り、幸せを取り戻す。

アレンはこの本のことを思い出しながら、自分も何が起きようとも、自分自身を見失わないことが大切だと感じた。家族や周りの騒がしい世界に惑わされず、静かに心の声を聞く勇気が必要なんだと。


「どうすれば、僕は本当の勇者として生きられるんだろう?」と、アレンは自問自答する日々を過ごすことになるだろう。しかし、それでも彼は知っていた。周りの騒ぎに惑わされず、自分の心の声を聞いて歩むことが、勇者としての本当の道なのだということを。

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